ぴこ師匠の音ゲーばなし

音ゲーに関する知識や雑学などを皆さまにお伝えするブログです。

#35:【SDVX】黎明の情、水に燃え立つ【コラム/曲語り】

ぴこと申します。
本日もブログを見に来てくださり、まことにありがとうございます。 

 

今週一週間は本当にいろいろありました…。

毎週の楽しみだったBPL2021の試合が全て終わってしまい、余韻に浸り始めていたところでボルテのBPL参戦発表、水曜からギタドラの新イベント、そして木曜にはボルテにて新Lv.20楽曲∞∞(σ∀σ)∞∞!の登場…!!

大変に盛りだくさんでしたね。

 

特にBPLのボルテ部門についてはじっくり書きたいところではありますが、まだ情報が出揃っているわけではありませんので、また後日ということで…!

今のところ、私ぴこは何らかの形でBPLのボルテ部門に携わりたいな、と思っておりますし、そのために既に私なりに出来ることを始めています。意思表明です。

ボルテの実力も今以上につけないといけませんので、高難易度楽曲も頑張って詰めています!

f:id:picoquality:20211009022852p:plain

と言いつつ、さっそくグレイスちゃんにボコられている

 

さて、本日はいよいよお待ちかね(?)の話題でございます。遅くなってしまい申し訳ありません。

以前もお伝えした通り、9月16日(木)より、SOUND VOLTEX EXCEED GEARの新曲として、「黎明の情 / TAKU1175 feat. 駄々子」が収録となりました。「れいめいのじょう」と読みます。

 

この楽曲についてですが、以前も本ブログでお伝えしたとおり、私ぴこが作詞を担当しております。

本日はこの「黎明の情」について、どういったアプローチで制作に携わったのか、どういうことを考えながら作詞をしていったのか…をご紹介していきます。ライナーノーツ的にお楽しみください。

 

 

まず、TAKU1175さん、駄々子さんと合作を行うのはSOUND VOLTEX IIIにて収録いただいた「いつかの夢、またねの約束。」以来なのですが、その時と今回とでは微妙に役割が変わっております。

 

・いつかの夢、またねの約束。
TAKU1175:作編曲、一部作詞
駄々子:歌唱、一部作詞
PICOLTEX:プロデュース、一部作詞

 

・黎明の情
TAKU1175:作編曲
駄々子:プロデュース、歌唱
PICOLTEX:作詞

 

プロデュースという名目にしてしまっていますが、ひらたくいえば「言い出しっぺ、原案」ということです。

いつかの夢のときは私が「こういう楽曲あったら良いな」というのをお二方に相談して作成したのに対し、今回は駄々子さんが持っている楽曲のイメージに沿って私が作詞、TAKU1175さんが作編曲した、という点で役割に違いがあります。

また、いつかの夢の際は3人で歌詞を作り上げていった感じなのですが、今回は私が1人で作詞を担当しております(もちろん原案はあったので、それに沿って考えたという意味で100%ではないのですが)。

 

この楽曲はボルテのキャラクターである「汐夏ほたる」さんをイメージした楽曲であり、タイトルからも分かる通り「炎夏の音」と関連する楽曲のイメージで制作しています。

FLOORの楽曲コメントで駄々子さんが書いている通りではあるのですが、はじめに駄々子さんから「こういったテーマで作詞をお願いしたい」という依頼をもらって、それに沿って歌詞を完成させていきました。

 

 

肝心の歌詞の内容については、KONAMI様にお問い合わせしたところ「原文自体を載せるのはご遠慮ください」ということでした。

しかしながら、「どういった方向性で作詞をしたか、という部分についての掲載はOK」という許可を頂きましたので、なるべくヒントを与えるような形で書ければ良いな、と思っています。

許可をくださったFLOORスタッフ様にはこの場をお借りして御礼申し上げます、本当にありがとうございます!

f:id:picoquality:20211009022814j:plain

ジャケットのほたるさんが儚げ美人で大変良い

 

では、歌詞のイメージについて少しずつ解説していきます。

まず、この「汐夏ほたる」というキャラクターについてですが、基本的には公式サイトに載っているキャラ紹介の情報がほぼ全てです。

「許されぬ恋が夏の蛍に宿った姿(幽霊)」「夏の間のみ実体を持てる」「現在は想い人の顔を思い出せない状態」あたりがキーワード。

 

p.eagate.573.jp

 

そして、先ほど説明した「駄々子さんのイメージ」は、「叶わぬ恋への未練から霊となってしまったものの、時の流れには抗えず、狂おしい程愛したあなた様の記憶さえも徐々に薄れてしまう…」というものでした。

上記のイメージに加えて、かの名曲「炎夏の音」と関連する楽曲として歌詞を書かなければいけないわけで、それはそれは背筋が伸びたものですが…

歌詞を書くにあたって大事にしたことは「ストーリー性」「叙情的な表現」です。

 

前者は頂いたテーマがあるのである程度イメージが湧きやすかったです。今回は汐夏ほたるさんが「想い人の記憶を忘れていってしまう」過程を描いたお話ですので、

曲前半から後半にかけて、徐々に時間が経過するイメージで作詞しています(具体的に言うと、Aメロが夕暮れ、Bメロ→1サビが夜~深夜、曲後半で転調する部分で夜明け、を想定しています)。

季節はもちろん夏を想定していますが、どちらかというと雨の多いジメジメした時期です。既に収録されているほたるさん楽曲「炎夏の音」「文月」がスッキリ爽やかめな(?)イメージなのに対し、「黎明の情」はねっとり湿度の高いイメージ。

(同コンテストで収録された「文月」のほうも大変良い曲なので、そちらもぜひ!)

 

後者については歌詞の内容というより表現方法ですが、「炎夏の音」に近いような感じで、かつ楽曲中にある表現をなるべくリンクさせたいな、と考えており、そういった点で表現を悩みました…!

炎夏の音の歌詞の聴き取りもしましたし、汐夏ほたるさんのキャラ紹介は何十回と読み返しました。ゲーセンに行って炎夏の音を選曲し、譜面からヒントを得られないかと試してみたりもしました…w

f:id:picoquality:20211009031336p:plain

プレイした結果ひもQしか思い浮かばなかった

 

なので「流される」とか「燃える」とか「永遠」とか、「炎夏の音」でも使われていたようなフレーズが「黎明の情」にも引用されています。

 

また、ほたるさんは昔を生きた方ですので、きっと歌を詠んだりしたこともあったでしょう。「蛍」を季語として使った短歌や俳句を作詞する過程で色々調べて、表現の参考にしていました。

特にその過程で知った「水に燃え立つ蛍」という表現(「水」と「見ず」をかけ、「燃えたつ」に、感情が激しくわき上がる意をかけて、相手に会うことなく恋い焦がれること)はほたるさんにピッタリだったので、サビに引用しました。

 

 

最後に、歌詞全体を通してひとつテーマを決めることも大事にしました。今回表現したのは「忘れられていってしまう記憶」と「明けゆく時代」の対比です。

 

既に現代ではほたるさんは相手の顔を忘れている状態ですので、今回は過去のお話。

具体的に言うと時代背景が現代より100年程度前の話を想定しており、それに合わせて楽曲自体も昭和歌謡風のアプローチだったのですが、

その位の時代で言うと(現世とコンソール=ネメシスはまた別だとは思うのですが)ちょうど明治→大正→昭和と時代が移り変わっていく頃です。

 

なので今回歌詞もそのくらいの時代を想い描きながら「夜明けを待つ街の灯」「蝙蝠傘」など時代背景に沿った表現を行っており、タイトルにもそのまま「黎明」という名前を付けました。

そのうえで、対比を行うために歌詞の中では「ほたるさん自身の心情の変化」を描きながら「街が賑わっていく様子」を表現しています。

 

 

ここからは歌詞自体の内容というよりは制作秘話的なものです。

今回は楽曲と歌詞を同時並行で作っていたので、「だいたいこんな感じの表現をしたい、こんなストーリーの流れで書きたい」的なものをあらかじめノートにまとめておいて、楽曲(譜割り)が完成したらそれに当てはめて表現を選んでいく、という方法で制作いたしました。

その時の私のノートがこちらです。字が綺麗でなく恐縮ですが、雰囲気が伝われば嬉しいです。

f:id:picoquality:20211009095039j:plain

こんなような感じのことを作詞するときはいつもやってます

 

今回は6年ほど前に作詞した「花ノ下連歌という楽曲の歌詞を書くときに比べてかなりスムーズに完成させることができました。

(いずれ「いつかの夢、またねの約束。」「花ノ下連歌についても語れる機会があったらなぁ…と思います。)

 

 

いかがでしたでしょうか。

個人的には、やりたいと思っていた事が全て表現できた、満足のいく作品に仕上がりました。楽曲自体もとてもお気に入りですし、一緒にやってみてTAKU1175さんと駄々子さんの凄さも再確認できました…!

 

難易度も17と難しすぎないレベル(?)なので、ゲーセンに行った際は、ぜひ遊んでみていただけると嬉しいです!

そして、その際はぜひ歌詞のほうも注目してみてください!

 

 

【今日のまとめ】
・同じ名義ですが、いつかの夢とは個々の役割が違います
・「忘れられていってしまう記憶」と「明けゆく時代」の対比を描いた歌詞です
・ゲーセンに行った際はぜひ遊んでみてください

 

ありがとうございました。